前回「🔗ホールガーメント®の企画を始める前に知っておきたい大事なポイント」と題しまして、ホールガーメント®で作れるアイテムや編める組織について紹介させていただきましたが、今回はホールガーメント®に関わるディテール表現のお話ができればと思います。
かなり生産現場目線からの話になってしまうのですが、ホールガーメント®のトップス企画において、このディテールを明確にしておけば工場さんは困らないという重要なポイントがあります。
そのポイントとは・・・
「肩」の仕様を明確に指示しておくことです。
編みデータを左右する肩の仕様
ホールガーメント®に関わらず、機械編みのニット製品は、どこをどのように編んでいくのかを指示したプログラミングデータを編み機に読み込ませることで製品を編んでいきます。
ホールガーメント®の場合は、袖と身頃を筒状に別々に編んでいき、それが脇で合流し、その後、脇より上部分を作っていくという編み方が一般的です。
その編みのプログラミングを組み上げていく時、軸となるのが、肩の仕様になります。

上の画像はホールガーメント®のプログラミング元絵になります。
こちらを見ても分かる通り、脇より下の見た目はほとんど同じですが、脇より上は大きく違うことが分かると思います。
ポケット付きやパフスリーブなど、細かいディテールが入らない限り、脇より下でデータ上の大きな変化は生まれにくく、例えば、裾リブの組織が1×1リブでも2×2リブでも特にデータの作り方に大きな差は出てきません。
しかし、肩の仕様が違えば、プログラミングデータも大きく変わってきます。
肩の仕様はプログラミングデータの方向性を決める軸となる部分ですので、ここが明確に指示されていると、生産工場は大変助かるという仕組みになっているわけです。
ホールガーメント®で表現できる肩の仕様
では、ホールガーメント®で表現できる肩の仕様にはどのようなものがあるのでしょうか。
基本的なものを紹介していきたいと思います。
①正肩 |
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肩線に沿って前身と後身が別れている仕様になります。 |

②後ろ肩 |
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前身が後身頃に回り込んでいる肩の仕様になります。 |

③エポーレット |
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トレンチコートなどの肩部分に付いている肩章のように、袖山が長く肩から襟ぐりまで延びている仕様になります。 |

④ラグランスリーブ |
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首から脇に向かって切り替え線が入る仕様です。 |

⑤パラシュート |
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衿に向かって身頃全体を減らしていく仕様になります。 求心柄と呼ばれる事があります。 |

いかがでしたでしょうか。
肩の仕様を明確にすることが、スムーズな生産依頼につながり、工場様・アパレル様双方のお役に立てれば幸いです。
また、こちらで紹介した仕様はあくまで基本的なものになりますので、もっとイレギュラーな肩の仕様にしたい、という方は依頼先の生産工場さんに問い合わせてみていただければと思います。
以上、ホールガーメントで編成可能なディテールの話 ~肩編 ~でした。
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