ホールガーメント®にもいろいろな種類があります。
はじめに、一言でホールガーメント®といっても、ホールガーメント®の編み機には様々な機種があり、それぞれの機械に向き不向きがあります。
例えば、ホールガーメント®ミニと呼ばれる機械は、基本的には靴下や帽子などを編むように設計されており、セーターを編むのには適していません。
また、搭載しているニードルベッド(※1)の数などでも編める糸や組織が変わるため、前提としてやりたい企画と編む機械の特性が合致していることが非常に重要となってきます。
この内容はあくまで当社が所有する機械を例として紹介させて頂きますので、工場や機械によっては例外もあります。
生産を依頼する際は、必ず生産メーカー様にお問い合わせした上で企画していただくことをおすすめいたします。
※1 ニードルベッド…編機の中で針が整列している部分。2枚ベッド、4枚ベッドなど機械の種類によってベッドの枚数が異なる。
当社保有のホールガーメント®機で作れるアイテム
ホールガーメント®機では様々なアイテムが作ることができます。
アパレルアイテムで出来ないものは無い!と言っても過言ではありません。
当社が保有するホールガーメント®機は
■『MACH2(マッハツー)』と呼ばれるホールガーメント®機の15G
■『ホールガーメント®ミニ』と呼ばれる小物編機の10G、15G
の2種類になっており、それぞれの機械で作ることができるアイテムが異なります。
当社で作れるアイテム一覧 | ホールガーメント®(MACH2) | ホールガーメント®ミニ(SWG) |
---|---|---|
プルオーバー / カーディガン | ○ | × |
ベスト / タンクトップ | ○ | × |
ワンピース | ○ | × |
スカート | ○ | △ |
パンツ | ○ | △ |
タイツ | △ | ○ |
アーム(レッグ)ウォーマー | △ | ○ |
帽子 | △ | ○ |
バッグ | △ | ○ |
靴下 | × | ○ |
手袋 | × | ○ |
ホールガーメント®が得意な組織と苦手な組織
先に紹介したホールガーメント®機で作れる「アイテム」が機械によって様々であった事と同様に「編み組織」についても機械によって得意・不得意があります。
ホールガーメント®は、前身と後身が脇で繋がっている(筒状)状態で成形されているので、編み組織に制限が生まれやすい傾向にあります。
また、成型機では編める組織でもホールガーメント®機だと出来ないことも多々ありますので注意が必要です。
さらに、ホールガーメント®機の中でも、弊社が保有していないタイプの機械ですと、畦柄やジャガードが問題なく編めたりすることもありますので、必ず生産メーカー様にお問い合わせしていただくことをおすすめいたします。
当社で対応可能な編み組織一覧 | ホールガーメント®(MACH2) | ホールガーメント®ミニ(SWG) |
---|---|---|
天竺 | ○ | ○ |
ガーター | ○ | ○ ※針抜き編成のみ |
リブ | ○ | ○ ※針抜き編成のみ |
リンクス | ○ | ○ ※針抜き編成のみ |
プレーティング | △ ※部分的に可能 | ○ |
ケーブル | △ ※ケーブル本数によっては可能 | △ ※ケーブル本数によっては可能 |
畦 | × | △ ※アイテムによっては可能 |
総針 | × | × |
ジャガード | △ ※シングルジャガードのみ。 色数、入れれる場所に制限あり | △ ※シングルジャガードのみ。 色数、入れれる場所に制限あり |
インターシャ | △ ※色数、入れれる場所に制限あり | △ ※色数、入れれる場所に制限あり |
ボーダー | △ ※色数に制限あり | △ ※色数に制限あり |
ホールガーメント®が得意な糸と苦手な糸
最後に、ホールガーメント®機の得意な糸と苦手な糸のご紹介です。
ホールガーメント®だけではなく、ニットの生産にとって「編みやすい糸」の選定は、生産工程をスムーズに進行するために非常に重要になってきます。
編み機との相性などもありますが、機械が苦手な糸で生産を進めると、製品トラブルが発生する可能性が高まり、納期に影響してしまう事もよくあります。
そのようなトラブルを避けるためにも、編みやすい糸での企画をご検討ください。
ホールガーメント®の編みやすい糸の特性
・糸に伸度(ストレッチ性)がある糸→ 糸切れなどが起きにくく、多少無理な編み方でも編めるケースがあります。
・適正番手の糸→ ゲージと糸の太さが合っていると、針のフック部分に糸がうまく収まるため、トラブルが少ないです。
・程良く滑る糸→ 程良く滑りのある糸は糸切れや乱寸に繋がりにくく編みやすいです。ただし滑りすぎると、糸を送る装置が空回りすることもありますので、シルクなどは注意が必要です
ホールガーメント®の編みにくい糸の特性
・糸に伸度(ストレッチ性)がない糸→ 糸切れが起きやすい。麻などは編めないことが多いです。
・色ムラがある→セーターなどで、袖を編む糸と身頃を編む糸に色差があると、その二つが合流する場所で色がぱっくり別れてしまうことがあります。
・毛足が長い→筒で編むため、前身を編む時に後身の毛を一緒に編んでしまい、前後がくっついてしまいます。
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ホールガーメント及びWHOLEGARMENTは株式会社島精機製作所の登録商標です。