今さら聞けないニットの知識
~編組織編~
1×1リブ、総針、スムース編みの違いとその特徴について
普段からよく聞く素材だけど…
よく使用する編組織だけど…
『本当はあまり良く知らずに使っている』
そのようなことはないでしょうか?
改めてニットの知識を深める為に、編組織や素材、ニットの仕様などの中からテーマを決めてわかりやすく解説、紹介いたします。
題して『今さら聞けないニットの知識』シリーズ!!
第1回は編組織編。
テーマは【1×1リブ、総針、スムース編みの違いとその特徴について】です。
編み組織の見分けがつきますか??
同じ糸で編んだ3種類の編地を横に並べてみました。
それぞれ、どれが何という編み組織かわかりますか?
正解はこちら▼
画像上なのでわかりづらかったかと思いますが、ニットに長けた方でも非常に見分けにくい組織です。
これから1×1リブ、総針、スムース編みの特徴や用途などについて解説していきます。
1×1リブについて
1×1リブは表目で1目、裏目で1目を1目ずつ空けながら互い違いに編まれます。
写真の様に表と裏で突合せになるように糸がかかります。
横方向への伸縮性にとんでいることが一番の特徴ですが、編地の幅が出づらいという点も。
伸縮性の特徴を生かし、裾や袖口などで使用されることが多い編み組織です。
ちなみにこの時、表目に続けて2目、裏目に続けて2目で編むと、2×2リブ。
表目に4目、裏目に2目で編むと、4×2リブという言い方をします。
総針について
総針は表目、裏目のすべての針に糸が互い違いに編まれます。
少しわかりづらいかもしれませんが、1×1リブは前後の針が1直線になっているのに対し、総針は前後の針の位置を若干(0.5目)ずらして編まれます。
適度な伸縮性がありながらも、目が詰まりやすくしっかりとした編地になるのが特徴で、編地の幅も出るため、使用用途は様々です。
しっかりと度詰めし、カーディガンの前立てやニットポロの衿などの付属パーツ。
また、透け感を抑え肉厚を持たせたニット製品を作るときにも採用される組織です。
💡雑学知識💡
1×1リブと総針の伸度の差は編み目と編み目の間の糸渡りの距離にあります。
■1×1リブ:糸渡りの距離が長い為、編地になったときに編み目(ループ)に吸収される糸量が多く、伸度が出る編地に。
■総針:糸渡りの距離が短いため、編地になったときに編み目(ループ)に吸収される糸量が少なく、伸びづらくしっかりした編地に。
スムースについて
スムース編みは、1×1リブを互い違いに編みこんでいます。
編み目のかけ方としては『写真①』なのですが、
見やすいように半コースで糸の色を切り替えたものが『写真②』です。
1×1リブが2重に重なっているイメージです。
スムース編みは、インターロック、ダブルリブなどとも呼ばれていて、
総針に似た見え方ですが、総針よりも肉厚があり、ふっくらとした編地になるのが特徴です。
横方向への伸縮も総針ほどはありません。
横伸びを少なくし、かつ肉厚を出したいときには最適な編み組織です。
デメリットとしては、1×1リブを交互に編んでいる為、編み時間がかかってしまうことでしょうか。
厚みが出やすいことと、横伸びがし辛い編み組織の為、ゲージに適している番手より少し細めの糸を使用しても十分なボリュームが出ます。
🙋♂️こんな経験ありませんか?🙋♀️
『防縮加工をしたウールの梳毛糸で適番のゲージで総針を編んだが、製品がスカスカで頼りない感じになってしまった』という経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時には、ストレッチ糸のプレーティングという選択肢の他に、スムース組織を検討してみるのも良いかと思います。
🏚社内での事例🧶
弊社社内での量産時に、カーディガンの前立てに使用する総針テープが頼りなく、糸の番手上、ゲージを一つ上げるわけにもいかない…
となったときがありました。
その際に、スムース編みに変更したことで解決に至った事例もあります。
総針テープが頼りないときはスムース編みも検討の余地があるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
似たような見え方をする編地でも、大きな違いがあります。
編み組織の理解を深める楽しさを知っていただけたり、これからの製品企画へのヒントに繋がれば幸いです。
澤田株式会社では、色々な編み組織のバリエーションをご覧いただける『編地ギャラリー』を公開中です。
下のボタンより閲覧可能ですので、ご利用いただければと思います。